◎「いつか母校の監督に」=野球部OBが教育実習=


 「高校野球の監督になって、いつか母校に戻りたい」――。

光陵高校野球部の卒業生3人が9月、同校を訪れ教育実習を行った。
3年間、白球を追ったグラウンドで、授業が終わった後も残り生徒に野球を教える姿も見られた。
参加したのは、霜山雄也氏(40期・立命館大4年)、平山臣人氏(41期・明治大4年)、片受駿氏(40期・早稲田大4年)の3人。
9月8日から28日まで実施された。


「基本をしっかり」。

大学1年から同校でコーチも務める平山氏は日が暮れたグラウンドで生徒たちに声を張り上げた。
4年間、毎日のように練習に顔を出した。
最初は「なぜできないんだ」と生徒に憤りを感じることもあったが、4年間が過ぎるうちに
「彼らができないことを受け入れた上で、何ができるか助言できるようになってきた」と振り返る。
心掛けていることは、雨の日こそ練習に行くこと。
「グラウンドが使えない日に行く指導者こそ本物だと考える」からだ。

公立高校の野球部の監督を目指し、国語の教員資格を取る。
「弱者が強者を倒すことこそ勝負の醍醐味」といい「いつか母校に戻ってきたい」と前を見据えた。


練習で選手たちのプレーを見つめる平山氏


英語教員を目指す霜山氏も
「高校時代の3年間は野球しかやってこなかった。何より野球が好き」と微笑む。
教育実習では、慣れない授業の準備に予想以上に時間がかかり、大変だったという。
生徒が自分で答えを見つけられるよう、分かっている答えをわざと思いつかせるように心掛けた。
霜山氏は「授業だけやって帰る教師にはなりたくない。生徒と近い距離を保てる教師でいたい」といい
「授業以外でも生徒と関わりたい。高校野球の監督になりたい」と目を輝かせた。


実習中に練習に参加した霜山氏


「指導者」という言葉が当然のように出てくるというのは、自分が歩むと決めた道への自覚の表れだろう。
2人からは、自分はもう選手でもなければ、コーチでもない「指導者」なんだという強い覚悟が伝わってきた。
彼らの夢が叶うことを願わずにはいられない。
(文・写真=37期・須黒佑真)